第21回 上智大学・環境法政策プログラム(SELAPP)セミナー「国際海洋環境法の近年の発展傾向と課題」を開催いたします。
◆日時:2025年11月22日(土曜)14時より
◆会場:上智大学(四谷キャンパス)2号館2階210教室 対面のみ
(参考)大学キャンパスマップ
https://adm.sophia.ac.jp/jpn/campus_kengaku_ad/kengaku_yotsuya/
ご出席をご希望の方には、出席登録(無料)をお願いしております。
https://eipro.jp/sophia/events/view/SELAPP20251122
◆企画趣旨
本企画では、海洋の環境保護に関する国際法に焦点を当てます。海洋は、その利用と影響に国際性があるため、環境保護についても比較的早くから国際法のルールが発展してきました。しかし近年、海洋の利用は一層多様化するとともに、様々な人間活動による海洋環境への負荷がさらに累積しつつあります。例えば海洋と気候との関係を見ても、洋上風力発電の設置、海底下の二酸化炭素貯留など、海洋は温暖化対策を実施する場にもなりつつありますが、海洋環境保護という観点からはそれらの活動に一定の規制が必要となっています。その一方、温暖化による水温上昇や海洋酸性化の悪影響が海の生態系にも及ぶようになっており、それにより例えば漁業のような伝統的な海洋活動においても、より一層環境配慮が求められつつあります。
こうした状況は、関連の国際法にも重要な課題を提起しています。従来海洋環境保護に関する具体的な規則は、汚染や漁業といったように、問題毎に締結される条約を通じて発展し
てきました。しかし、多様な人間活動の累積的影響を統合的に管理するためには、それらの調整や統合が必要となります。例えば、2023年に採択され、先ごろ日本も国会承認した国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)は、まさしくこの課題に対応する立法的試みであったと言えます。また近年、特に国際海洋法裁判所は、比較的抽象的な内容の国連海洋法条約の条文を発展的に解釈することで、この課題にも応じようとしているように見受けられ(気候変動事件勧告的意見(2024年)等)、こうした国際判例の動向も無視できない状況となっています。
このように今日では、海洋環境保護をめぐる国際法の規則は、一層複雑かつダイナミックに発展しており、それらの理解と評価は、現在或いは今後の日本の海洋法政策の在り方を考えるうえでも不可欠となっています。また、日本が国際法上の義務を的確に実施していくという観点からすれば、このような国際法の発展状況は、日本の国内法上の課題にも関わってくるはずです。そこで本企画では、日本の国際環境法学を第一線でリードし、また海洋環境法に精通しておられる児矢野マリ先生(北海道大学)をゲストとしてお招きし、海洋環境保護をめぐる国際法の今日の発展傾向と課題についてご講演いただきます。また関連して堀口健夫(上智大学)が、近年の国際判例の動向の一端をご紹介します。多くの皆様と海洋環境法をめぐる問題状況を共有し、また議論できればと考えておりますので、是非奮ってご参加ください。
◆次第(司会:上智大学 堀口健夫)
14:00 開会のご挨拶
14:05~14:10 堀口健夫「企画趣旨について」
14:10~14:50 児矢野マリ氏「持続可能な海の利用と海洋環境・生態系の保全―国際法のダイナミズムと日本の将来」
14:50~15:10 堀口健夫「国際裁判所による国連海洋法条約の義務の解釈の動向:予防的アプローチを例に」
休憩(質問回収)
15:20~16:00 質疑応答
16:00~16:05 閉会のご挨拶
お問い合わせは、堀口(thoriguchi★sophia.ac.jp)までお願い申し上げます(★は@に変えてお送りください)。